カンヌ国際映画祭で最高賞とされるパルム・ドール賞。
世界最大の映画の祭典だけあって、ベスト・オブ・ベスト=最高賞に輝いた作品は毎年注目されていますね。
そこで今回は、カンヌ映画祭パルムドール賞歴代作品&監督、日本人の作品がいくつ受賞しているのか調べてみました。
カンヌ映画祭パルムドール賞(最高賞)歴代
1940年代(第1回~3回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第1回 1946年 |
もだえ /アルフ・シェーベルイ |
スウェーデン |
失われた週末 /ビリー・ワイルダー |
アメリカ | |
地球は赤くなる /ボディル・イプセン ラウ・ラウリッツェン |
デンマーク | |
下層都市 /チェタン・アナンド |
インド | |
逢びき /デヴィッド・リーン |
イギリス | |
マリア・カンデラリア /エミリオ・フェルナンデス |
メキシコ | |
偉大な転換 /フリードリッヒ・エルムレル |
ソビエト連邦 | |
田園交響楽 /ジャン・ドラノワ |
フランス | |
最後のチャンス /レオポルト・リントベルク |
スイス | |
翼のない男たち /フランチシェク・チャープ |
チェコスロバキア | |
無防備都市 /ロベルト・ロッセリーニ |
イタリア | |
第2回 1947年 |
ジーグフェルド・フォリーズ /ヴィンセント・ミネリ |
アメリカ |
海の牙 /ルネ・クレマン |
フランス | |
十字砲火 /エドワード・ドミトリク |
アメリカ | |
幸福の設計 /ジャック・ベッケル |
フランス | |
第3回 1949年 |
第三の男 /キャロル・リード |
イギリス |
1950年代(第4回~第12回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第4回 1951年 |
令嬢ジュリー /アルフ・シェーベルイ |
スウェーデン |
ミラノの奇蹟 /ヴィットリオ・デ・シーカ |
イタリア | |
第5回 1952年 |
オーソン・ウェルズのオセロ /オーソン・ウェルズ |
アメリカ他 |
2ペンスの希望 /レナート・カステラーニ |
イタリア | |
第6回 1953年 |
恐怖の報酬 /アンリ=ジョルジュ・クルーゾー |
フランス |
第7回 1954年 |
地獄門 /衣笠貞之助 |
日本 |
第8回 1955年 |
マーティ /デルバート・マン |
アメリカ |
第9回 1956年 |
沈黙の世界 /ジャック=イヴ・クストー /ルイ・マル |
フランス イタリア |
第10回 1957年 |
友情ある説得 /ウィリアム・ワイラー |
アメリカ |
第11回 1958年 |
鶴は翔んでゆく /ミハイル・カラトーゾフ |
ソビエト連邦 |
第12回 1959年 |
黒いオルフェ /マルセル・カミュ |
フランス/イタリア/ブラジル |
1960年代(第13回~第22回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第13回 1960年 |
甘い生活 /フェデリコ・フェリーニ |
フランス イタリア |
第14回 1961年 |
かくも長き不在 /アンリ・コルピ |
フランス |
ビリディアナ /ルイス・ブニュエル |
スペイン | |
第15回 1962年 |
サンタ・バルバラの誓い /アンセルモ・デュアルテ |
ブラジル |
第16回 1963年 |
山猫 /ルキノ・ヴィスコンティ |
イタリア |
第17回 1964年 |
シェルブールの雨傘 /ジャック・ドゥミ |
フランス |
第18回 1965年 |
ナック /リチャード・レスター |
イギリス |
第19回 1966年 |
男と女 /クロード・ルルーシュ |
フランス |
蜜がいっぱい /ピエトロ・ジェルミ |
フランス/イタリア | |
第20回 1967年 |
欲望 /ミケランジェロ・アントニオーニ |
イギリス/イタリア |
第21回 1968年 |
五月革命で休止 | |
第22回 1969年 |
If もしも…. /リンゼイ・アンダーソン |
イギリス |
1970年代(第23回~第32回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第23回 1970年 |
M★A★S★H マッシュ /ロバート・アルトマン |
アメリカ |
第24回 1971年 |
恋 /ジョゼフ・ロージー |
イギリス |
第25回 1972年 |
労働者階級は天国に入る /エリオ・ペトリ |
イタリア |
黒い砂漠 /フランチェスコ・ロージ |
イタリア | |
第26回 1973年 |
雇い人 /アラン・ブリッジス |
イギリス |
スケアクロウ /ジェリー・シャッツバーグ |
アメリカ | |
第27回 1974年 |
カンバセーション…盗聴… /フランシス・フォード・コッポラ |
アメリカ |
第28回 1975年 |
小さな火の歴史 /モハメッド・ラクダル=ハミナ |
アルジェリア |
第29回 1976年 |
タクシードライバー /マーティン・スコセッシ |
アメリカ |
第30回 1977年 |
父 パードレ・パドローネ /パオロ・タヴィアーニ ヴィットリオ・タヴィアーニ |
イタリア |
第31回 1978年 |
木靴の樹 /エルマンノ・オルミ |
イタリア/フランス |
第32回 1979年 |
地獄の黙示録 /フランシス・フォード・コッポラ |
アメリカ |
ブリキの太鼓 /フォルカー・シュレンドルフ |
西ドイツ |
1980年代(第33回~第42回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第33回 1980年 |
オール・ザット・ジャズ /ボブ・フォッシー |
アメリカ |
影武者 /黒澤明 |
日本 | |
第34回 1981年 |
鉄の男 /アンジェイ・ワイダ |
ポーランド |
第35回 1982年 |
ミッシング /コスタ・ガヴラス |
ギリシャ/アメリカ |
路 /ユルマズ・ギュネイ |
トルコ | |
第36回 1983年 |
楢山節考 /今村昌平 |
日本 |
第37回 1984年 |
パリ、テキサス /ヴィム・ヴェンダース |
西ドイツ |
第38回 1985年 |
パパは、出張中! /エミール・クストリッツァ |
ユーゴスラビア |
第39回 1986年 |
ミッション /ローランド・ジョフィ |
イギリス |
第40回 1987年 |
悪魔の陽の下に /モーリス・ピアラ |
フランス |
第41回 1988年 |
ペレ /ビレ・アウグスト |
デンマーク/ スウェーデン |
第42回 1989年 |
セックスと嘘とビデオテープ /スティーヴン・ソダーバーグ |
アメリカ |
1990年代(第43回~第52回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第43回 1990年 |
ワイルド・アット・ハート /デヴィッド・リンチ |
アメリカ |
第44回 1991年 |
バートン・フィンク /コーエン兄弟 |
アメリカ |
第45回 1992年 |
愛の風景 /ビレ・アウグスト |
スウェーデン/ デンマーク他 |
さらば、わが愛/覇王別姫 /チェン・カイコー |
中国/ イギリス領香港 |
|
第46回 1993年 |
ピアノレッスン /ジェーン・カンピオン |
ニュージーランド |
第47回 1994年 |
パルプ・フィクション /クエンティン・タランティーノ |
アメリカ |
第48回 1995年 |
アンダーグラウンド /エミール・クストリッツァ |
ユーゴスラビア他 |
第49回 1996年 |
秘密と嘘 /マイク・リー |
イギリス |
第50回 1997年 |
桜桃の味 /アッバス・キアロスタミ |
イラン |
うなぎ /今村昌平 |
日本 | |
第51回 1998年 |
永遠と糸に血 /テオ・アンゲロプロス |
ギリシャ他 |
第52回 1999年 |
ロゼッタ /ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ |
ベルギー/ フランス |
2000年代(第53回~第62回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第53回 2000年 |
ダンサー・イン・ザ・ダーク /ラース・フォン・トリアー |
デンマーク他 |
第54回 2001年 |
息子の部屋 /ナンニ・モレッティ |
イタリア |
第55回 2002年 |
戦場のピアニスト /ロマン・ポランスキー |
ポーランド他 |
第56回 2003年 |
エレファント /ガス・ヴァン・サント |
アメリカ |
第57回 2004年 |
華氏911 /マイケル・ムーア |
アメリカ |
第58回 2005年 |
ある子供 /ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ |
ベルギー/フランス |
第59回 2006年 |
麦の穂をゆらす風 /ケン・ローチ |
アイルランド他 |
第60回 2007年 |
4ヶ月、3週と2日 /クリスティアン・ムンジウ |
ルーマニア |
第61回 2008年 |
パリ20区、僕たちのクラス /ローラン・感て |
フランス |
第62回 2009年 |
白いリボン /ミヒャエル・ハネケ |
オーストリア他 |
2010年代(第63回~第72回)
回/開催年 | 題名/監督 | 制作国 |
第63回 2010年 |
ブンミおじさんの森 /アピチャッポン・ウィーラセタクン |
タイ |
第64回 2011年 |
ツリー・オブ・ライフ /テレンス・マリック |
アメリカ |
第65回 2012年 |
愛、アムール /ミヒャエル・ハネケ |
オーストリア/フランス/ドイツ |
第66回 2013年 |
アデル、ブルーは熱い色 /アブデラティフ・ケシシュ |
フランス |
第67回 2014年 |
雪の轍 ヌリ・ビルゲ・ジェイラン |
トルコ/ドイツ/フランス |
第68回 2015年 |
ディーパンの闘い /ジャック・オーディアール |
フランス |
第69回 2016年 |
わたしは、ダニエル・ブレイク /ケン・ローチ |
イギリス/フランス/ベルギー |
第70回 2017年 |
ザ・スクエア 思いやりの聖域 /リューベン・オストルンド |
スウェーデン/デンマーク/アメリカ/フランス |
第71回 2018年 |
万引き家族 /是枝裕和 |
日本 |
第72回 2019年 |
パラサイト 半地下の家族 /ポン・ジュノ |
韓国 |
カンヌ映画祭とは?
第1回から現在のパルム・ドール受賞作品を振り返ってみましたが、この章では知っているようで知らないカンヌ映画祭について簡単にご説明します。
カンヌの場所
カンヌのある場所は、フランス南東部にある地中海に面する都市です。
中世の頃は農業や水産業が盛んなのどかな村落でしたが、1930年代よりイギリスの上流階級がカンヌに別荘を建てはじめ、次第に高級リゾート地へと発展しました。
カンヌの街の西にある、パレ・デ・フェスティヴァルという建物がカンヌ映画祭の会場となります。
カンヌ映画祭とは?
世界三大映画祭と言われる、(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア)の一つで、1934年〜42年の間にファシズム政権に権力を握られていたイタリアベネチア国際映画祭に対抗して創設されたのが「カンヌ国際映画祭」です。
世界三大映画祭それぞれの特徴として、
■ヴェネツィア・・・社会性
■カンヌ・・・商業性、独自性
が重視されると言われています。
カンヌは映画祭の中でも最も権威があるものと知られ、ドレスコードも厳しく取材する側もブラックタイを付けないと撮影させてもらいないほどです。
また観客もシビアであり、つまらなかったら上映中でも椅子を畳んで退席したり、高評価なら上映後数分間も拍手が鳴りやまない場合があります。
そのため、監督をはじめ俳優など関係者はとてつもなく緊張を強いられる映画祭でもあります。
パルムドールの意味
パルム・ドールは、「金色のシュロ」という意味があります。
シュロとはヤシ科植物の総称であり、勝利の象徴とされる植物です。
パルムドールのトロフィーにも、この金色のシュロの装飾が施されていますね。
カンヌ映画祭パルム・ドール賞の選考方法
カンヌ映画祭の受賞作品は、大きく分けて公式選出と独立選出に分かれています。
パルムドール賞を競うのは公式選出で、「コンペティション部門」や「ある視点部門」などがあります。
公式選出
コンペティション部門 | 作品賞 | パルムドール(最高賞)グランプリ(次点) |
個人賞 | 監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞、審査員賞 | |
ある視点部門 | コンペティションから漏れた作品 | ある視点作品賞など |
短編部門 | コンペティション短編部門 | パルムドール(短編) |
シネフォンダシヨン部門 | 学生による短編映画 | 作品賞、特別賞など |
独立選出
国際批判家習慣 | フランス批判化連盟が設立 | グランプリ、ライジングスター賞、ライカ・シネ・ディスカバリー賞、ギャン・ファンデーション賞、SACD賞など |
監督習慣 | フランス監督賞会主催 | SACD賞、ECLAC賞など |
その他
カメラドール | コンペティション部門、国際批判家習慣、監督習慣から選ばれた初長編監督作品に与えられる賞 |
ちなみに、カンヌ映画祭のノミネートは、誰でもインターネットからエントリーできます。
しかも短編部門ならば0円で応募可能ですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみて下さいね。
パルムドールの審査方法
各部門につき5〜10名の審査員が、選出された作品を鑑賞し決定されます。
審査員の構成は、偏りがないように男女比や人種などに配慮がなされたものとなっています。
また審査員は毎年変わります。
日本監督の作品はいくつ?
これまで日本人がパルムドールを受賞した作品は以下の通りです。
パルムドールを受賞した日本作品
1954年 | 衣笠貞之助監督「地獄門」 |
1980年 | 黒澤明監督の「影武者」 |
1983年 | 今村昌平監督「楢山節考」 |
1997年 | 今村昌平監督「うなぎ」 |
2018年 | 是枝裕和監督「万引き家族」 |
今村昌平監督は、パルム・ドールを2度受賞していますが、カンヌ映画祭は毎年同じ監督がノミネートされることも多くみられます。
是枝監督は毎年のようにノミネートされていますし、是枝監督2004年の作品「誰も知らない」では柳楽優弥さんが男優賞を受賞しています。
審査員の好みによって評価も変わってくるカンヌ映画祭で、次はどんな日本作品がえらばれるのか楽しみですね。
最後に
カンヌ映画祭パルムドール賞(最高賞)歴代を振り返ってみると、日本作品は5作品受賞していることが分かりました。
興行的に評価されていない作品でもカンヌ映画祭によって発掘され、全世界で話題になる場合も多くあります。
今年も、これらを踏まえて受賞する作品にぜひ注目したいですね。