【カンヌ映画祭パルムドール賞(最高賞)歴代】日本作品はいくつ?

カンヌ国際映画祭で最高賞とされるパルム・ドール賞。

世界最大の映画の祭典だけあって、ベスト・オブ・ベスト=最高賞に輝いた作品は毎年注目されていますね。

日本人の作品はいくつくらい受賞してるのかしら?
日本人では2018年に是枝裕和監督の「万引き家族」が受賞したことが記憶にあたらしいね。

そこで今回は、カンヌ映画祭パルムドール賞歴代作品&監督、日本人の作品がいくつ受賞しているのか調べてみました。

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カンヌ映画祭パルムドール賞(最高賞)歴代

1940年代(第1回~3回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第1回
1946年
もだえ
/アルフ・シェーベルイ
スウェーデン
失われた週末
/ビリー・ワイルダー
アメリカ
地球は赤くなる
/ボディル・イプセン
ラウ・ラウリッツェン
デンマーク
下層都市
/チェタン・アナンド
インド
逢びき
/デヴィッド・リーン
イギリス
マリア・カンデラリア
/エミリオ・フェルナンデス
メキシコ
偉大な転換
/フリードリッヒ・エルムレル
ソビエト連邦
田園交響楽
/ジャン・ドラノワ
フランス
最後のチャンス
/レオポルト・リントベルク
スイス
翼のない男たち
/フランチシェク・チャープ
チェコスロバキア
無防備都市
/ロベルト・ロッセリーニ
イタリア
第2回
1947年
ジーグフェルド・フォリーズ
/ヴィンセント・ミネリ
アメリカ
海の牙
/ルネ・クレマン
フランス
十字砲火
/エドワード・ドミトリク
アメリカ
幸福の設計
/ジャック・ベッケル
フランス
第3回
1949年
第三の男
/キャロル・リード
イギリス
「第三の男」、「無防備都市」は、今でも映画ファンからの評価が高い作品ね。
1946~54年までは“パルム・ドール”という賞ではなく、“グランプリ”という名前だったんだよ。

1950年代(第4回~第12回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第4回
1951年
令嬢ジュリー
/アルフ・シェーベルイ
スウェーデン
ミラノの奇蹟
/ヴィットリオ・デ・シーカ
イタリア
第5回
1952年
オーソン・ウェルズのオセロ
/オーソン・ウェルズ
アメリカ他
2ペンスの希望
/レナート・カステラーニ
イタリア
第6回
1953年
恐怖の報酬
/アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
フランス
第7回
1954年
地獄門
/衣笠貞之助
日本
第8回
1955年
マーティ
/デルバート・マン
アメリカ
第9回
1956年
沈黙の世界
/ジャック=イヴ・クストー
/ルイ・マル
フランス
イタリア
第10回
1957年
友情ある説得
/ウィリアム・ワイラー
アメリカ
第11回
1958年
鶴は翔んでゆく
/ミハイル・カラトーゾフ
ソビエト連邦
第12回
1959年
黒いオルフェ
/マルセル・カミュ
フランス/イタリア/ブラジル
1953年「恐怖の報酬」は、第3回ベルリン国際映画祭でも最高賞の金熊賞を獲得したすごい作品よ。
1959年の「黒いオルフェ」も第32回アカデミー賞で外国語映画賞も受賞しているんだよ。

1960年代(第13回~第22回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第13回
1960年
甘い生活
/フェデリコ・フェリーニ
フランス
イタリア
第14回
1961年
かくも長き不在
/アンリ・コルピ
フランス
ビリディアナ
/ルイス・ブニュエル
スペイン
第15回
1962年
サンタ・バルバラの誓い
/アンセルモ・デュアルテ
ブラジル
第16回
1963年
山猫
/ルキノ・ヴィスコンティ
イタリア
第17回
1964年
シェルブールの雨傘
/ジャック・ドゥミ
フランス
第18回
1965年
ナック
/リチャード・レスター
イギリス
第19回
1966年
男と女
/クロード・ルルーシュ
フランス
蜜がいっぱい
/ピエトロ・ジェルミ
フランス/イタリア
第20回
1967年
欲望
/ミケランジェロ・アントニオーニ
イギリス/イタリア
第21回
1968年
五月革命で休止
第22回
1969年
If もしも….
/リンゼイ・アンダーソン
イギリス
フランス全土でおこった反体制運動“五月革命”で映画祭は中止に追い込まれたんだね。
1963年「山猫」は上映時間が183分あり「長すぎる」という理由で、161分に短縮され「英語国際版」として上映されたんだ。

1970年代(第23回~第32回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第23回
1970年
M★A★S★H マッシュ
/ロバート・アルトマン
アメリカ
第24回
1971年

/ジョゼフ・ロージー
イギリス
第25回
1972年
労働者階級は天国に入る
/エリオ・ペトリ
イタリア
黒い砂漠
/フランチェスコ・ロージ
イタリア
第26回
1973年
雇い人
/アラン・ブリッジス
イギリス
スケアクロウ
/ジェリー・シャッツバーグ
アメリカ
第27回
1974年
カンバセーション…盗聴…
/フランシス・フォード・コッポラ
アメリカ
第28回
1975年
小さな火の歴史
/モハメッド・ラクダル=ハミナ
アルジェリア
第29回
1976年
タクシードライバー
/マーティン・スコセッシ
アメリカ
第30回
1977年
父 パードレ・パドローネ
/パオロ・タヴィアーニ
ヴィットリオ・タヴィアーニ
イタリア
第31回
1978年
木靴の樹
/エルマンノ・オルミ
イタリア/フランス
第32回
1979年
地獄の黙示録
/フランシス・フォード・コッポラ
アメリカ
ブリキの太鼓
/フォルカー・シュレンドルフ
西ドイツ
コッポラ監督の「地獄の黙示録」は、日本でも有名な作品だよね。
泥沼化したベトナム戦争でのアメリカ人の闇を衝撃的な映像で描き、アメリカ政府を批判した問題作として話題になったんだ。

1980年代(第33回~第42回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第33回
1980年
オール・ザット・ジャズ
/ボブ・フォッシー
アメリカ
影武者
/黒澤明
日本
第34回
1981年
鉄の男
/アンジェイ・ワイダ
ポーランド
第35回
1982年
ミッシング
/コスタ・ガヴラス
ギリシャ/アメリカ

/ユルマズ・ギュネイ
トルコ
第36回
1983年
楢山節考
/今村昌平
日本
第37回
1984年
パリ、テキサス
/ヴィム・ヴェンダース
西ドイツ
第38回
1985年
パパは、出張中!
/エミール・クストリッツァ
ユーゴスラビア
第39回
1986年
ミッション
/ローランド・ジョフィ
イギリス
第40回
1987年
悪魔の陽の下に
/モーリス・ピアラ
フランス
第41回
1988年
ペレ
/ビレ・アウグスト
デンマーク/
スウェーデン
第42回
1989年
セックスと嘘とビデオテープ
/スティーヴン・ソダーバーグ
アメリカ
1980年受賞の「オール・ザッツ・ジャズ」の監督は舞台「シカゴ」の脚本・振付師としても知られているわね。
武田信玄が亡くなった後、影武者に仕立てあげられた泥棒の悲喜劇を描いた黒澤明監督の「影武者」が1980年に受賞しているね。

1990年代(第43回~第52回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第43回
1990年
ワイルド・アット・ハート
/デヴィッド・リンチ
アメリカ
第44回
1991年
バートン・フィンク
/コーエン兄弟
アメリカ
第45回
1992年
愛の風景
/ビレ・アウグスト
スウェーデン/
デンマーク他
さらば、わが愛/覇王別姫
/チェン・カイコー
中国/
イギリス領香港
第46回
1993年
ピアノレッスン
/ジェーン・カンピオン
ニュージーランド
第47回
1994年
パルプ・フィクション
/クエンティン・タランティーノ
アメリカ
第48回
1995年
アンダーグラウンド
/エミール・クストリッツァ
ユーゴスラビア他
第49回
1996年
秘密と嘘
/マイク・リー
イギリス
第50回
1997年
桜桃の味
/アッバス・キアロスタミ
イラン
うなぎ
/今村昌平
日本
第51回
1998年
永遠と糸に血
/テオ・アンゲロプロス
ギリシャ他
第52回
1999年
ロゼッタ
/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
ベルギー/
フランス
パルム・ドールを受賞した女性監督は「ピアノレッスン」のジェーン・カンピオン監督だけなんだ。70回以上も開催されているのに女性監督が一人なんて少ないなぁ。
ちなみに1997年ヴェネツィア国際映画祭で、北野武監督が金獅子賞を獲得したときの審査委員長はジェーン・カンピオン監督だったんだよ。

2000年代(第53回~第62回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第53回
2000年
ダンサー・イン・ザ・ダーク
/ラース・フォン・トリアー
デンマーク他
第54回
2001年
息子の部屋
/ナンニ・モレッティ
イタリア
第55回
2002年
戦場のピアニスト
/ロマン・ポランスキー
ポーランド他
第56回
2003年
エレファント
/ガス・ヴァン・サント
アメリカ
第57回
2004年
華氏911
/マイケル・ムーア
アメリカ
第58回
2005年
ある子供
/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
ベルギー/フランス
第59回
2006年
麦の穂をゆらす風
/ケン・ローチ
アイルランド他
第60回
2007年
4ヶ月、3週と2日
/クリスティアン・ムンジウ
ルーマニア
第61回
2008年
パリ20区、僕たちのクラス
/ローラン・感て
フランス
第62回
2009年
白いリボン
/ミヒャエル・ハネケ
オーストリア他
不遇な移民セルマの空想をミュージカル調に仕立てた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は、好きな映画No.1にあげる人が多いよね。
主役を務めた人気女性歌手ビョークが歌う主題歌『I’ve seen it all』も大ヒットしたよ。

2010年代(第63回~第72回)

回/開催年 題名/監督 制作国
第63回
2010年
ブンミおじさんの森
/アピチャッポン・ウィーラセタクン
タイ
第64回
2011年
ツリー・オブ・ライフ
/テレンス・マリック
アメリカ
第65回
2012年
愛、アムール
/ミヒャエル・ハネケ
オーストリア/フランス/ドイツ
第66回
2013年
アデル、ブルーは熱い色
/アブデラティフ・ケシシュ
フランス
第67回
2014年
雪の轍
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
トルコ/ドイツ/フランス
第68回
2015年
ディーパンの闘い
/ジャック・オーディアール
フランス
第69回
2016年
わたしは、ダニエル・ブレイク
/ケン・ローチ
イギリス/フランス/ベルギー
第70回
2017年
ザ・スクエア 思いやりの聖域
/リューベン・オストルンド
スウェーデン/デンマーク/アメリカ/フランス
第71回
2018年
万引き家族
/是枝裕和
日本
第72回
2019年
パラサイト 半地下の家族
/ポン・ジュノ
韓国
「万引き家族」のパルム・ドール受賞は、1997年の今村昌平監督『うなぎ』以来21年ぶりだったんだね。
日本が背負う生々しい現実を演じた、安藤サクラさんはじめ俳優の評価も高かったね。
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カンヌ映画祭とは?

第1回から現在のパルム・ドール受賞作品を振り返ってみましたが、この章では知っているようで知らないカンヌ映画祭について簡単にご説明します。

カンヌの場所

カンヌのある場所は、フランス南東部にある地中海に面する都市です。

中世の頃は農業や水産業が盛んなのどかな村落でしたが、1930年代よりイギリスの上流階級がカンヌに別荘を建てはじめ、次第に高級リゾート地へと発展しました。

カンヌの街の西にある、パレ・デ・フェスティヴァルという建物がカンヌ映画祭の会場となります。

カンヌ映画祭とは?

世界三大映画祭と言われる、(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア)の一つで、1934年〜42年の間にファシズム政権に権力を握られていたイタリアベネチア国際映画祭に対抗して創設されたのが「カンヌ国際映画祭」です。

世界三大映画祭それぞれの特徴として、

■ベルリン・・・芸術性
■ヴェネツィア・・・社会性
■カンヌ・・・商業性、独自性

が重視されると言われています。

カンヌは映画祭の中でも最も権威があるものと知られ、ドレスコードも厳しく取材する側もブラックタイを付けないと撮影させてもらいないほどです。

また観客もシビアであり、つまらなかったら上映中でも椅子を畳んで退席したり、高評価なら上映後数分間も拍手が鳴りやまない場合があります。

そのため、監督をはじめ俳優など関係者はとてつもなく緊張を強いられる映画祭でもあります。

パルムドールの意味

パルム・ドールは、「金色のシュロ」という意味があります。

シュロとはヤシ科植物の総称であり、勝利の象徴とされる植物です。

パルムドールのトロフィーにも、この金色のシュロの装飾が施されていますね。

 

カンヌ映画祭パルム・ドール賞の選考方法

カンヌ映画祭の受賞作品は、大きく分けて公式選出と独立選出に分かれています。

パルムドール賞を競うのは公式選出で、「コンペティション部門」や「ある視点部門」などがあります。

公式選出

コンペティション部門 作品賞 パルムドール(最高賞)グランプリ(次点)
個人賞 監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞、審査員賞
ある視点部門 コンペティションから漏れた作品 ある視点作品賞など
短編部門 コンペティション短編部門 パルムドール(短編)
シネフォンダシヨン部門 学生による短編映画 作品賞、特別賞など

独立選出

国際批判家習慣 フランス批判化連盟が設立 グランプリ、ライジングスター賞、ライカ・シネ・ディスカバリー賞、ギャン・ファンデーション賞、SACD賞など
監督習慣 フランス監督賞会主催 SACD賞、ECLAC賞など

その他

カメラドール コンペティション部門、国際批判家習慣、監督習慣から選ばれた初長編監督作品に与えられる賞

ちなみに、カンヌ映画祭のノミネートは、誰でもインターネットからエントリーできます。

しかも短編部門ならば0円で応募可能ですので、興味のある方はぜひチャレンジしてみて下さいね。

パルムドールの審査方法

各部門につき5〜10名の審査員が、選出された作品を鑑賞し決定されます。

審査員の構成は、偏りがないように男女比や人種などに配慮がなされたものとなっています。

また審査員は毎年変わります。

日本監督の作品はいくつ?

これまで日本人がパルムドールを受賞した作品は以下の通りです。

パルムドールを受賞した日本作品

1954年 衣笠貞之助監督「地獄門」
1980年 黒澤明監督の「影武者」
1983年 今村昌平監督「楢山節考」
1997年 今村昌平監督「うなぎ」
2018年 是枝裕和監督「万引き家族」

今村昌平監督は、パルム・ドールを2度受賞していますが、カンヌ映画祭は毎年同じ監督がノミネートされることも多くみられます。

是枝監督は毎年のようにノミネートされていますし、是枝監督2004年の作品「誰も知らない」では柳楽優弥さんが男優賞を受賞しています。

審査員の好みによって評価も変わってくるカンヌ映画祭で、次はどんな日本作品がえらばれるのか楽しみですね。

最後に

カンヌ映画祭パルムドール賞(最高賞)歴代を振り返ってみると、日本作品は5作品受賞していることが分かりました。

興行的に評価されていない作品でもカンヌ映画祭によって発掘され、全世界で話題になる場合も多くあります。

今年も、これらを踏まえて受賞する作品にぜひ注目したいですね。

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