オリンピックサッカーは、FIFAワールドカップよりも歴史の長い大会です。
しかし、1980年モスクワ大会までは、プロの参加が認められておらず注目度は低いものでした。
プロの参加が認められた現在は、若手スター選手のお披露目や活躍が見られるとして、屈指の人気を誇る競技になっています。
そこで今回は、歴代オリンピック男子サッカー優勝国を一覧にし、オリンピックサッカーの独自のルールにも迫ってみました。
歴代オリンピック男子サッカー優勝国一覧
1900-1936
年/開催国 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル |
1900パリ | イギリス | フランス | ベルギー |
1904セントルイス | カナダ | アメリカ | アメリカ |
1908ロンドン | イギリス | デンマーク | オランダ |
1912ストックホルム | イギリス | デンマーク | オランダ |
1916ベルリン | 第一次世界大戦のため中止 | ||
1920アントワープ | ベルギー | スペイン | オランダ |
1924パリ | ウルグアイ | スイス | スウェーデン |
1928アムステルダム | ウルグアイ | アルゼンチン | イタリア |
1932ロサンゼルス | サッカー競技は非開催 | ||
1936ベルリン | イタリア | オーストリア | ノルウェー |
1940-1976
年/開催国 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル |
1940東京 | 第二次世界大戦のため中止 | ||
1944ロンドン | 第二次世界大戦のため中止 | ||
1948ロンドン | スウェーデン | ユーゴスラビア | デンマーク |
1952ヘルシンキ | ハンガリー | ユーゴスラビア | スウェーデン |
1956メルボルン | ソビエト連邦 | ユーゴスラビア | ブルガリア |
1960ローマ | ユーゴスラビア | デンマーク | ハンガリー |
1964東京 | ハンガリー | チェコスロバキア | 東西統一ドイツ |
1968メキシコシティ | ハンガリー | ブルガリア | 日本 |
1972ミュンヘン | ポーランド | ハンガリー | ソビエト連邦/東ドイツ |
1976モントリオール | 東ドイツ | ポーランド | ソビエト連邦 |
1980-2016
年/開催地 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル |
1980モスクワ | チェコスロバキア | 東ドイツ | ソビエト連邦 |
1984ロサンゼルス | フランス | ブラジル | ユーゴスラビア |
1988ソウル | ソビエト連邦 | ブラジル | 西ドイツ |
1992バルセロナ | スペイン | ポーランド | ガーナ |
1996アトランタ | ナイジェリア | アルゼンチン | ブラジル |
2000シドニー | カメルーン | スペイン | チリ |
2004アテネ | アルゼンチン | パラグアイ | イタリア |
2008北京 | アルゼンチン | ナイジェリア | ブラジル |
2012ロンドン | メキシコ | ブラジル | 韓国 |
2016リオデジャネイロ | ブラジル | ドイツ | ナイジェリア |
オリンピックサッカーの独自のルール
オリンピックサッカーの独自のルールが生まれた背景には、FIFAとの対立があります。
1984年ロサンゼルスオリンピックからプロ選手の参加が認められると、オリンピックサッカーは集客率があがり人気が出ました。
しかし、A代表で世界一を決定する大会となるとFIFAとの差別化ができなくなり、両者の利害が対立していく構図ができてしまいました。
そこで、両組織の妥協案としてオリンピックサッカーには独自のルールが設けられたのです。
23歳以下限定
オリンピックサッカー男子の出場資格は23歳以下(U-23)であること。
1996年のアトランタ大会からは、「若く知名度に劣る選手だけは魅力に欠ける」ということから3名のオーバーエイジ選手を加えることが可能になりました。
これにより、指揮官にとっては選手の選択肢も増え、ファンにとってはスター選手のプレーを見られるというメリットも生まれました。
オーバーエイジ枠は、各国の判断にゆだねられるので使用しなくてもよく、1名でも2名の採用でもかまいません。
ちなみに女子サッカーには年齢制限はありません。
澤穂希さんが4大会出場できたのも、年齢制限がなかったことがあげられます。
登録選手は、たったの18名
FIFAなどの国際大会では通常23名までの選手登録が認められていますが、オリンピックでは18名しか登録することが出来ません。
これもIOCとFIFAの対立のねじれからきているものと思われます。
オリンピックの場合は、決勝まで残ると仮定すれば短期間で6試合を戦うことになります。
この異例のルールに対応するため、指揮官たちは複数のポジションをこなせる選手を備えるなどして、策を練っています。
開会式の前に試合が始まる
オリンピック憲章に記されているのは、「開催期間が16日を超えてはならない」というものがあります。
しかし16チームが参加し、中2日の間隔を取るグループリーグでは16日の日程は不可能です。
また暑さによる選手の健康面の悪影響が予想されるため、特例としてサッカー競技のみ開会式の前から試合が行えるようになったのです。
ユニフォームは国旗のみ
サッカーオリンピックの大会のユニフォームには、各国サッカー連盟のロゴやサプライヤーのデザインは禁止されています。
大会では各国のオリンピック委員会単位でしか出場は認められません。
そのためサッカー協会などの概念は排除することになっているのです。
ワールドカップでは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドなどと別れて出場するのに対し、オリンピックではイギリスとして出場しているのもこのためです。
最後に
男子オリンピックの優勝国の歴史には、プロとアマ出場条件やIOCとFIFAとの対立などが深く関わっていることが分かりました。
現在のサッカーは、オリンピック憲章の改定などにより、次世代の主役選手の活躍や、スター選手のスーパープレーなどが見られる大注目の競技となっています。
ワールドカップとは違った条件で戦う、各国チームや選手にぜひ注目して応援しましょう。