リオ五輪で日本に熱狂と感動を届けてくれた、男子陸上400mリレー。
そこで今回は、歴代オリンピックの400メートルリレーのメダル獲得国とタイム、日本記録、世界記録をまとめてみました。
オリンピック男子400メートルリレー歴代メダル獲得国
開催年/国 | 金 | 銀 | 銅 |
1912ストックホルム | イギリス | スウェーデン | 該当なし |
1920アントワープ | アメリカ | フランス | スウェーデン |
1924パリ | アメリカ | イギリス | オランダ |
1928アムステルダム | アメリカ | ドイツ | イギリス |
1932ロサンゼルス | アメリカ | ドイツ | イタリア |
1936ベルリン | アメリカ | イタリア | ドイツ |
1948ロンドン | アメリカ | イギリス | イタリア |
1952ヘルシンキ | アメリカ | ソビエト | ハンガリー |
1956メルボルン | アメリカ | ソビエト | 東西統一ドイツ |
1960ローマ | 東西統一ドイツ | ソビエト | イギリス |
1964東京 | アメリカ | ポーランド | フランス |
1968メキシコシティ | アメリカ | キューバ | フランス |
1972ミュンヘン | アメリカ | ソビエト | 西ドイツ |
1976モントリオール | アメリカ | 東ドイツ | ソビエト |
1980モスクワ | ソビエト | ポーランド | フランス |
1984ロサンゼルス | アメリカ | ジャマイカ | カナダ |
1988ソウル | ソビエト | イギリス | フランス |
1992バルセロナ | アメリカ | ナイジェリア | キューバ |
1996アトランタ | カナダ | アメリカ | ブラジル |
2000シドニー | アメリカ | ブラジル | キューバ |
2004アテネ | イギリス | アメリカ | ナイジェリア |
2008北京 | トリニダード・トバゴ 38秒06秒 |
日本 38秒15秒 |
ブラジル 38秒24秒 |
2012ロンドン | ジャマイカ | トリニダード・トバゴ | フランス |
2016リオ | ジャマイカ 37秒27 |
日本 37秒60 |
カナダ 37秒64 |
日本は2008年北京五輪と、2016年リオ五輪で2度銀メダルを獲得していますが、2008北京の当初の結果では銅メダルでした。
しかし、金メダルだったジャマイカの第1走者だったネスタ・カーターがドーピングの検査で失格となり、繰り上がりで銀メダルとなったのです。
トラック競技で日本が銀メダルを獲得したのは80年ぶりの快挙でした。
男子400mリレーの世界記録トップ10
開催年/大会 | 国 | タイム |
2012ロンドン五輪 | ジャマイカ | 36秒84 |
2011大邱世界選手権 | ジャマイカ | 37秒04 |
2008北京五輪 | ジャマイカ | 37秒10 |
1993シュトゥットガルト世界選手権 | アメリカ | 37秒40 |
1992バルセロナ五輪 | アメリカ | 37秒40 |
1991東京世界選手権 | アメリカ | 37秒50 |
1991ヴェルトクラッセチューリッヒ | アメリカ | 37秒67 |
1991モナコ | サンタモニカトラッククラブ | 37秒79 |
1990スプリトヨーロッパ選手権 | フランス | 37秒79 |
1984ロサンゼルス五輪 | アメリカ | 37秒83 |
男子400mリレー日本記録トップ10
開催年/大会 | メンバー | タイム |
2019ドーハ世界大会 | 多田修平、白石黄良々、桐生祥秀、サニブラウン | 37秒43 |
2016リオ五輪(決勝) | 山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥 | 37秒60 |
2016リオ五輪(予選) | 山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥 | 37秒68 |
2007大阪世界選手権(決勝) | 塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治 | 38秒03 |
2007大阪世界選手権(予選) | 塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治 | 38秒21 |
2000シドニー(準決勝) | 川畑伸吾、伊東浩司、末續慎吾、朝原宣治 | 38秒31 |
1997アテネ世界選手権(準決勝) | 井上悟、伊東浩司、土江寛裕、朝原宣治 | 38秒31 |
1997アテネ世界選手権(予選) | 井上悟、伊東浩司、土江寛裕、朝原宣治 | 38秒44 |
1995イエテボリ世界選手権(準決勝) | 鈴木久嗣、伊東浩司、井上悟、伊藤喜剛 | 38秒67 |
1992バルセロナ五輪(決勝) | 青戸慎司、鈴木久嗣、井上悟、杉本龍勇 | 38秒77 |
日本は なぜ400mリレーに強い?
日本は、これまでに400mリレーで2度も銀メダルを獲得し、記録も世界トップレベルまで成長しています。
トラック競技でメダル獲得が難しかった日本が、なぜ400mリレーで結果を残すことができたのか、その理由についてまとめてみました。
スピードを落とさないバトンワーク
アメリカでは、手のひらを上向きにして渡すオーバーハンドパスという方法がとられています。
オーバーハンドパスは、渡す方と受ける方の間が長い(利得距離)ので、走る距離は稼げますが、受け手の走りが窮屈になります。
また、受け渡しの際の失敗が多い傾向があります。
一方、日本は走る姿勢のまま自然にバトンを渡すことができるアンダーハンドパスを採用しています。
アンダーハンドパスは、利得距離は少ないものの、受けてがスムーズに加速でき減速も少ない方法です。
リレーでは命とりとなる、バトンの受け渡しの失敗が少ないのも特徴です。
100m合計タイムからリレーのタイムを引いた「利得タイム」からその巧さを知ることができます。
利得タイムが大きいほどバトンパスが巧いという指標となります。
100mの自己記録とリレーのタイムから利得タイムを算出するとジャマイカ・・・9秒72 ー 9秒69 ー 9秒90 ー 9秒58 =38秒89 ー (37秒27) = 1秒62
日本・・・・・・10秒05 ー 10秒22 ー 10秒01 ー 10秒10 =40秒38 ー (37秒60) = 2秒78
アメリカ・・・・9秒85 ー 9秒74 ー 9秒69 ー 9秒84 =39秒12 ー (37秒60) = 1秒50
出展元:TRAC公式HPより
日本は、圧倒的に利得タイムが大きく、バトンパスが上手いことが、この資料からも分かりますね。
走り方に合った区間を分析
日本の強さの秘密は、個々の能力を最大限に生かしているということです。
選手の走り方の特性を綿密に分析し、走る区間や順番を決定しています。
第1走者
第1走者は、スターティングブロックから走り出すので、鋭いスタートと中盤までの加速力が必要になります。
ここは、最初に他のチームを引き離す力のある、小池祐貴選手が担当する予定です。
第2走者
第2走者は、バトンに受け渡しの順番によって距離が大幅に変わり、最長で130mも走ることになる区間です。
スピードはもちろん、それを維持できる力のある選手が望ましいですね。
日本代表では、スピードと持久力が持ち味の白石黄良々選手が走行する予定です。
第3走者
この区間は、カーブが多いコースとなりますので、テクニックを有する選手が担当します。
日本代表では、9秒台の記録を持ちカーブの得意な桐生祥秀選手が担当すると思われます。
第4走者
アンカーは、前に選手がいても追い抜くことが出来る爆発力のある選手がいいでしょう。
日本代表では、圧倒的な身体能力とスピードが武器のサニ・ブラウン選手が走る予定です。
日本は、「バトンミスを防ぐこと」、「走る適性の分析」を徹底したことにより、世界に食い込むことが出来るようになったのです。
最後に
400mリレーは、スピードだけでなくチームワークやバトンパスなど、テクニックや作戦も重要となる競技です。
今度の大会でも日本には、流れるようなバトンワークと、個々の最高のパフォーマンスを生かして、金メダルを獲得してもらいたいですね。